厚生労働省の雇用対策基本問題部会は、今後の高年齢者雇用対策について、(1)希望者全員の65歳までの雇用確保策、(2)生涯現役社会の実現に向けた環境の整備のための方策について検討を行い、その報告が公表されました。今後、厚生労働省において、法的整備を含め所要の措置が講じられるものと見込まれます。

◎65歳までの希望者全員の継続雇用確保検討の背景
 少子高齢化が急速に進展する中、全就業者数は2020年には2009年と比較して約433万人減少することが試算され、2012年には、団塊の世代が60歳代後半に達し、職業生活から引退して非労働力化する者が増加すると見込まれています。一方、わが国の高年齢者の就業意欲は非常に高く、65歳以上まで働きたいという人が高齢者の大部分を占めていると指摘されています。

 このような中、現行の高年齢者雇用安定法では、60歳定年及び65歳まで(平成23年12月時点では64歳)の雇用確保措置を義務化されていますが、例外的に、労使協定により継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定め、当該基準に基づく制度を導入したときは、継続雇用制度を講じたものと見做されています。

 厚生労働省の調査では、雇用確保措置を導入している企業の割合は、31人以上規模企業のうち95.7%に達しており、全企業のうち、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は47.9%であり、希望者全員が64歳(平成23年12月時点での雇用確保措置義務年齢)まで働ける企業の割合は50.8%、また、継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準により離職した者が定年到達者全体に占める割合は1.8%(定年到達者約435,000人中約7,600人)という結果がでています。

 一方で、年金の支給開始年齢は段階的に引き上げられており、男性については、定額部分は平成25年度に65歳までの引上げが完了し、同年度から、報酬比例部分についても61歳に引き上げられる(平成37年度までに65歳まで段階的に引上げ)ため、無年金・無収入となる者が生じる可能性があること。

 また、高年齢者については、長い職業人生で培ってきた職業知識や経験を経済社会において有効に活用することが重要であり、そのためには高年齢者がその意欲及び能力に応じて働くことができる生涯現役社会を実現するための環境を整備することが必要であるとも指摘されています。

◎希望者全員の65歳までの雇用確保について
 少子高齢化が進展し労働力人口が減少する中、現行の年金制度に基づき公的年金の支給開始年齢が65歳まで引き上げられることを踏まえると、無年金・無収入となる者が生じないよう、65 歳までは、特に定年制の対象となる者について、希望者全員が働くことができるようにするための措置が求められています。

◎生涯現役社会の実現に向けた環境の整備
 2025 年には65 歳以上人口が全人口の3割を超えると見込まれる中で、生涯現役社会の実現が求められるが、高齢期は個々の労働者の意欲・体力等に個人差があることなどから、それらに応じて正社員以外の働き方や短時間・短日勤務やフレックス勤務を希望する者がいるなど、雇用就業形態や労働時間等のニーズが多様化しています。
このため、このような高年齢者の多様な雇用・就業ニーズに応じた環境整備を行うことにより雇用・就業機会を確保する必要があり、また、中高年齢者を取り巻く雇用情勢は依然として厳しく、いったん離職するとその再就職は困難であるため、再就職しやすい環境整備が一層必要であると指摘されています。

【諸外国の年金制度】  年 金 制 度
日本 厚生年金定額部分:男性64歳・女性62歳(※1)
報酬比例部分:60歳(※2)
※1 男性は2013年度に、女性は2018年度に65歳に引上げられることになっている。
※2 男性は2025年度に、女性は2030年度に65歳に引上げられることになっている。
アメリカ 66歳
※2021年から1年に2ヶ月ずつ段階的に引上げられることになっており、2027年に67歳となる。
イギリス 男性65歳・女性60歳
※女性は2010~2018年11月にかけて段階的に65歳に引上げられることになっている。また、男女ともに2020年までに66歳、2028年までに67歳、2024年まで68歳に引上げられることになっている。
ドイツ 65歳
※2012~29年にかけて段階的に67歳に引上げられることになっている。
フランス 60歳4ヶ月
※2018年までに段階的に62歳に引上げられることになっている。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]
http://www.mhlw.go.jp