現行の社会保険制度において、被用者でありながら被用者保険、被用者年金の適用を受けられない非正規労働者が多数存在しています。社会保障の機能強化とそれを支える財政の健全化が求められている折から、短時間労働者に対する社会保険、健康保険、厚生年金の適用拡大は避けて通れないとも指摘されています。厚労省・社会保障審議会では、早期に法案化を目指し、この懸案事項について集中審議を重ねています。

■審議概要

◎適用拡大の対象となる短時間労働者の範囲
・労働時間については、あまりに短時間の労働者まで対象にするのではなく、雇用保険と同様に、週所定労働時間が20時間以上の者を対象とすることが考えられるのではないか。

・勤務期間については、短時間労働者は出入りが多く、事業主から事務負担への懸念が示されていることや、厚生年金と国民年金、健康保険と国民健康保険に出入りを繰り返すことになれば本人の手間もかかる(届出漏れ等のおそれもある)点が雇用保険と異なること等を考慮すれば、例えば6か月以上の勤務期間がある者を対象とするようなことが必要ではないか。なお、勤務期間を適用条件として定める場合でも、過去にその期間働いてきた者だけでなく、契約段階で、今後その期間働くことが見込まれる者も対象とする必要があるのではないか。

◎賃金水準や企業規模を基準とする場合の影響(対象者数:推計)
【賃金水準】選択肢(例) 考え方 人数
(1)月額9.8万円(年収117万円) 平成19年法案の基準、厚生年金の標準報酬下限 40万人程度
(2)月額8.6万円(年収103万円) 所得税非課税となる水準 90万人程度
(3)月額6.7万円(年収80万円) ・1号被保険者の相当部分をカバーし3号被保険者の就業調整も起きにくい水準(週20時間労働の場合)
・最低賃金(全国加重平均)相当(週20時間労働の場合) 250万人程度
(4)月額5.4万円(年収65万円) ・給与所得控除の最低保障額
・最低賃金(全国最低額)相当(週20時間労働の場合) 300万人程度
(5)設定しない ― 370万人程度

【企業規模】選択肢(例) 考え方 人数
(1)301人以上 ・平成19年法案の基準
・中小企業基本法における典型的な中小企業 150万人程度
(2)101人以上 ・障害者雇用促進法の障害者雇用納付金対象企業、次世代育成支援推進対策法の次世代育成支援対策計画の作成対象企業(いずれも301人以上から拡大) 220万人程度

◎労働者の属性に着目した取扱いについて対象者 取扱いを考える際の留意点 人数
学生の取扱い ・学業が主体である時期であり、年金保障については卒業してからという考え方がある。
・適用拡大の対象外とした場合、本人は国民年金の納付猶予制度の対象となり、また、企業にとって社会保険料の事業主負担がないため、他の労働者(同年代のフリーター等)の採用への影響が懸念される。
・短期・短時間のアルバイトが多いとの指摘もあるが、それは別の条件設定で解決することも考えられる。 40万人程度
高齢者(年金受給者)の取扱い ・既に年金受給権を得ているので新たな年金保障は必要ない、という考え方がある一方、加入すれば、退職後の年金給付は増額となる。
・年金受給者でも、医療保険については、国民健康保険等に加入して保険料を負担している。
・適用拡大の対象外とした場合、企業にとって社会保険料の事業主負担がないため、他の労働者(特に50代後半の労働者)の採用への影響が懸念される。
※なお、通常の労働者では、60歳以上の者も区別なく厚生年金に加入している。 60万人程度
主婦(第3号被保険者)の取扱い ・主たる生計を担っている者ではなく、基礎年金に加えた新たな年金保障は必要ないという考え方がある。
・適用拡大の対象外とした場合、企業にとって社会保険料の事業主負担がないため、他の労働者(シングルマザー等)の採用への影響が懸念される。 170万人程度

◎事業主及び医療保険者への配慮措置について
 適用拡大に伴い、事業主にとっての負担の変化、医療保険者の負担の変化等が生じることを踏まえ、雇用管理の見直し等のための実施準備期間を設けることを含め、激変を緩和し、適用拡大を円滑に進めるための配慮措置の検討が必要。

◇事業主への配慮については、どのような事業主に対し、どのような理由で、どのような配慮が必要か。
(事業主の例)
・適用拡大により新たに厚生年金・健康保険の適用を受ける短時間労働者が多く就業し、経営への影響が大きい事業主
(配慮の理由の例)
・雇用に与える影響を抑える
・事務負担を軽減する

◇医療保険者への配慮については、どのような医療保険者に対し、どのような理由で、どのような配慮が必要か。
(保険者の例)
・適用拡大による財政悪化に対応するため、保険料率の大幅な引き上げが必要となる保険者

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000022k66.html