労働生産性と日本人の労働観

 日本は先進国の中でも労働生産性が低い、とよく言われます。しばしば引用される根拠は、日本生産性本部がまとめたOECD加盟国の時間当たりの労働生産性の比較です。2018年のデータによると日本の就業1時間あたりの労働生産性は46.8USドルで、36ヵ国中21位。主要先進7ヵ国で最下位となっています。

 ところで上位3ヵ国の内実を見ると、アイルランドやルクセンブルクは税制優遇国でグローバル企業を呼び込んでいるが大きな要因とされ、ノルウェーは資源大国で大資本は必要だが人員はあまり必要とされない、などの事情があります。ともあれ、労働生産性の向上が日本全体の経営課題として急務であるとしきりに言われており、そのような文脈でよく語られるのが「欧米のビジネスマンは仕事のキリがついたらさっさと帰るが、日本人はいつまでも残っている」という説。そこから、オンオフのメリハリとかワーク・ライフ・バランス、働き方改革へと議論が発展しているようです。

 しかし「いつまでも残っている」のが果たしてそれほど悪いことなのでしょうか?考えられるのは日本人の持つ独特の仕事観です。日本における仕事観は、欧米の「labor」に象徴されるような「苦役」「強いられる」といった受動的なものでなく、自分の意志でひと様の役に立つという精神が根底にありそうです。要するに日本人は仕事好きで、その一端が、労働生産性の問題に表れているようにも見えます。